KYOMI SINSIN

不動産部の熊谷拓人が、東京・赤坂でテーラーを開業して80年近くになるテイラーアンドクロース株式会社の隅谷彰宏氏を訪問。
テーラーメイドというモノづくりへのこだわりや自社ブランドへの思い、現在取り組まれているプロジェクトのお話を伺い、自らの仕事への思いを新たにする。

不動産部の熊谷拓人が、東京・赤坂でテーラーを開業して80年近くになるテイラーアンドクロース株式会社の隅谷彰宏氏を訪問。
テーラーメイドというモノづくりへのこだわりや自社ブランドへの思い、現在取り組まれているプロジェクトのお話を伺い、自らの仕事への思いを新たにする。

SPECIAL MOVIE
老舗テーラーの新たな挑戦

Chapter 1: Introduction

映画「007」のジェームズ・ボンドの
着こなしが“格好いいなぁ”と思ったのが、
私がスーツに興味を持ったきっかけだった。
「なんでも初めは格好いいと
思うことから入ればいいと思いますよ」
と、隅谷氏。

「映画であれ、あの格好よさは上辺だけでなく、
主人公に核としたものがあるからでしょう。
私たちもお客様の本質を引き出し、着る人がいちばん
素敵に見える服を提案していきたい。」隅谷氏はそう話す。

「シンプルな中に日本らしさをいかに表現して
いけるかを常に考えています」。そんなお話を伺いながら、
自社ブランドAUXCA(. オーカ)の商品を見せていただく。
上質な肌触りと極上の着心地の良さを感じた。

Chapter 2: Taylor’s Spirit

テイラーアンドクロース株式会社の前身である
隅谷洋服店は、戦後間もなく創業したテーラー。
マッカーサー元帥や吉田茂のスーツを仕立てたという。
二代目である父親の隅谷譲司会長もまた筋金入りの
洋服職人。その腕前から一般顧客のスーツをはじめ、
テレビCMやステージの衣装なども多数手がけてきた。

昔は型紙から生地の裁断、縫製まですべて出来なければ
一人前のテーラーとは言えなかったという。
日本人の繊細な手仕事と熟練の技術への揺るぎない自信。
ひとつひとつの言葉の裏に本物のプライドを感じた。

隅谷氏は10年ほど前、自ら携わってきた
ファッション・ビジネスをもう一度学び直そうと
慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネージメント研究科に
席を置き、ブランディングについて研究。

「日本には作り手の信念が伝わる本物の
ファッションブランドが少ない」と隅谷氏。
かつて日本にあった職人の“信念”や“哲学”に
培われたモノづくりをアップデートさせた
ブランドをつくっていきたいと話す。

Chapter 3: What’s Luxury?

“ラグジュアリー”とは、本来『とても心地の良いこと』
『めったに得られない喜び』といった精神的なもの。
隅谷氏曰く、ラグジュアリーとはつまりはモノではなく
“生き方”なのだと。
そんな言葉から捉え方の違いに気づかされ、
価値観や物事への視野が広がった。

隅谷氏は、日本独自の美意識から生まれる
ラグジュアリーを世界に発信していこうという
JAXURY(ジャクシュアリィー)
を提唱し、雑誌FRaUと連動して委員会を発足。
AUXCA. は、ファッション分野における
JAXURYのひとつの答えと言えるだろう。

※JAXURY=JAPAN’S AUTHENTIC LUXURY

様々なジャンルの文化人や有識者の方々とともに、
日本独自のラグジュアリーに光を当てていく。
その一環として自らは服づくりで参画していく。
豊富な経験を持ちながら、さらなる目標を掲げて
チャレンジする姿に接し、私自身さらに本気で仕事に
取り組んでいきたいと、思いを新たにした。

ショップ内に配された扉は、京都 仁和寺金堂の
御扉を西陣織で再現したもの。日本の伝統を継承
しながらも、和にも洋にも傾かない新しい時代の設え。
商品である服と、その空間が醸し出す世界観から、
「日本発のラグジュアリーで、世界中に幸せを
届けていきたい」という隅谷氏の思いが感じられる。